おざわやの代表のブログです
2024.01.20
昨日のネアンデルタール人について書いたブログの内容を深めるために、ネットからいろいろ調べているうちに出てきたのが「縄文時代が1万4千年も続いた理由」という動画を見て、僕にとっては単に旧石器時代と弥生時代の間でしかなかった縄文時代に興味が湧きました。平安時代や江戸時代が400年もの長さで安定した政権を続けていたこともなかなか無いことだということは知っていましたが、定住しながらの狩猟文化という世界的にも稀な文化がこれほど長く続いてことも更に珍しく、その暮らしぶりを知りたくなりました。
まずはこの動画にあった「1万4千年も…」というのは多少誇張があったものの1万年以上続いたのは確かで、定住せずに狩猟採集していた旧石器時代から定住化して土器などを使い始めたところから、農耕が主流となる弥生時代までは安定した温暖化気候にも助けられていたこと。そしてこれほど豊かに海や山が近いことから、狩猟や採集が容易に出来た日本列島の自然にも縄文人たちの生活が支えられていたようです。でも考えてみれば、世界最古の文明といわれているメソポタミア文明でさえ紀元前6千年と言われているんだから、その歴史には驚いてしまいますよね。
メソポタミア文明が起こった頃に作られた縄紋土器
漆器もすでに同じ頃に使われていて、後期には翡翠を装飾品にしていた © 北海道・北東北の縄文遺跡群より
日本の土壌は酸性のため、ほとんどの地域で人骨が残ることは稀です。でもこの縄文時代には土器の中に納められた人骨や、貝塚と一緒になっていたことからアルカリで中和された人骨が多く発掘された遺跡が発見されています。ただ埋葬法に関しては一定のものはなく、体を伸ばしたままの伸展葬(しんてんそう)もあれば屈葬もあり、または土器に納めた子供の人骨も見つかっています。
子供の人骨が収められた甕棺(かめかん) © 北海道・北東北の縄文遺跡群より
また部族のリーダー的な人の埋葬跡には装飾品や呪いの道具なども見つかりますが、そんな土坑では人骨は残らないためか見つからず、代わりに貝塚の周りに集合埋葬された人骨が大量に見つかっている遺跡も多くあります。ここ愛知県の渥美半島からはいくつもそんな遺跡が見つかっていて、その一つの保美貝塚で見つかった集積と呼ばれる埋葬跡は「再葬」という方法が取られていました。
これは一度埋葬や安置された遺体を再び出して新たに埋葬し直すという方法で、近代まで沖縄などでも行われていた埋葬法。
保美貝塚A集積の発掘調査の様子と、それを再現した展示(画像はデジタルミュージアム2000より)
沖縄(琉球)の場合は海岸沿いの石灰岩質の崖などに遺体を安置して、一定期間置いたのちに人骨だけを甕に詰める「洗骨(センクチ)」という埋葬でしたが、この縄文時代にはどのような方法が取られていたのかは不明。ただここだけで10体ほどの人骨がこれほどバラバラに納められている様子は、発掘された1965年当時でも相当な驚きだったと思います。
また縄文時代から既に定住する人がいたという吉野ヶ里遺跡からは、弥生時代に入ると大人がすっぽり収まるほどの甕棺も見つかっていて、その時代ならではの様式で死者を葬っていたことが分かります。
吉野ヶ里遺跡から見つかった大人の人骨 © 2024 by Mukibanda Ouendan
こんな風にかめの中に屈葬された人骨は、母親の子宮の中の胎児を摸されていると言われていて、再びこの世に戻るようにとの祈りが込められているようです。更に昔にネアンデルタール人でも行われていた埋葬という風習は、歴史を物語る一つの文化として後の世にいろいろなことを語りかけてくれるようですね。
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