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》裏切られ転落した男を救ったのはやはり愛だった:映画『忘れられし愛』鑑賞記

2024.01.10

妻に捨てられ友だちに裏切られて記憶を失った男が探していた本当の幸せとは?という王道ストーリーながら、ヒトの倫理観や正義はいつか報われるはずと願わずにはいられないストーリーを紹介するブログ。



この2023年のポーランド映画は、ポーランドでは有名な作家の書いた小説『ZNACHOR(にせ医者)』を元に映画化された作品で、これまでにも何度か映画化されているほどの名作ですが、多分Netflixで配信されなければ、まず知らなかったであろう作品。ただ1937年に出版された物語なので、そのストーリーは古典文学として人の愛憎を描いた作品は王道中の王道。


それでもやはり起承転結の末に訪れるハッピーエンドを願わずにはいられない、そんな作品の紹介です。



《『忘れられし愛』のあらすじ》



かつて有能な外科医であったラファウ・ヴィチューラは、

妻が幼い娘を連れて去った後、

強盗に遭って怪我を負い記憶喪失に。


不運に翻弄されつつ本能に突き動かされて娘の面影を追った男は

その放浪の末に自らの運命と向き合っていく。




Courtesy of Netflix © 2023




監督はもちろん、俳優も誰一人として知らない作品ながらとても見やすく感じたのは、ポーランドの美しい風景とカルピスこども劇場にでも出てきそうな王道ストーリーだったからでしょうか?笑




【妻や友だちに裏切られた名医が放浪の末に見つけたものは】

優れた脳外科医として知られたヴィチューラは、困っている患者を見掛けると放ってはおけないような正義感溢れる医師。目の前で馬車に轢かれた貧しい新聞売りの少年を助け、それが元になって大学病院の外科部長の座を約束されます。でもそんな風にいつも患者優先だからか、愛する妻には愛想を尽かされ家を出ていかれてしまい、その晩に市中でヤケ酒に溺れていたところを強盗に襲われてします。



しかも酔っ払ったヴィチューラに呼び出された同じ病院の外科医仲間ドブラニエツキは、襲われている彼を助けず昏睡状態のまま放置したことで行方不明になり、彼が得たはずだった外科部長の座を奪ってしまいます。




友人と信じていたヴィチューラを妬んでいたドブラニエツキ Courtesy of Netflix © 2023




舞台はそれから10年後、襲われた傷が元で記憶を失った彼はアントニと名乗り、当て所もなく何かを探すように放浪しています。ある時、暴走した馬車から振り落とされた農夫が肩を脱臼していたところに現れたアントニは、その肩をいとも簡単に治してしまったアントニを馬車の主の製粉所の女主人が見そめ、連れて帰った彼に住み込みで働くよう薦めます。




夫を亡くして長い女主人はすぐアントニを気に入ります




ちょうど同じ頃に村を訪れた身寄りのない娘マリシアは、両親が残してくれたピアノを譲る代わりに村のバーで働かせてくれと頼み込みますが、このマリシアこそがかつてヴィチューラが生き別れてしまった娘そのもの。奇しくも同じ村で出くわすことになった二人ですが、当然ながら気づかない二人ではあったものの、なぜかアントニはマリシアのことが気にかかって仕方ありません。


そうしてバーで働いていたマリシアは、その姿を見そめたユダヤ人の侯爵の息子に言い寄られますが、はじめそんな彼の女遊びとしか思えず相手にしません。




マリシアは皆んなの人気者ですがどこか影を感じさせます




【ヒトの縁は巡り巡って再び出会うもの】

こうして再び出会うことになった父と娘ですが、こんな風に巡ってくる縁って都合良すぎるように思えて、でも人生長く生きてるとままあるものです。『レ・ミゼラブル』も然り、そんな中世の戯曲にありがちな王道ストーリーながら誰の胸の内にもありそうな巡り合わせのストーリーは、やはりまた人との出会いによって動き始めるもの。この劇中では侯爵のバカ息子が彼女との出会いに触発され、その想いに応えたマリシアが生き別れた父親との縁に気づいていきます。



そしてこの舞台となっている村ではポーランド人の気のいい農夫たちと貴族風な生活のユダヤ人という構図ですが、原作が発表された1937年から2年後にはナチスドイツがポーランド侵攻することを考えると、この後の彼らの人生は楽ではないはず。いやもちろんこちらはフィクションなんだけど、こんな牧歌的な風景やヒトの繋がりがもうすぐ壊れてしまうんだなあなんて思いながら見ると、また違った印象になってしまうかもしれませんね。




ヴィチューラの不遇な人生は続くのか?




そんなヴィチューラの記憶は戻るのか、マリシアは本当の幸せを見つけられるのか?そして二人の人生の未来がどうなるかは、ぜひNetflixでご覧ください。





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