》伝説に残るF1レーサーの生涯：『SENNA〜音速の彼方へ』鑑賞記

今でこそF1ファンだと公言していますが、アイルトン・セナが活躍していた頃はそれほどでもなく、この映画とNetflixドラマで分かった彼の凄さと強さ、そして優しさについて。

先に見たのはNetflixドラマの『SENNA』で、主役を演ずるガブリエル・レオーニのセナぶりとそのレースシーンの本気具合がSNS上でも話題に上がっていました。

マシンもほぼ実際のものが使われたようです

初めて車を運転した幼少期から自ら訪欧しての無名レース時代や女性関係なども含め、セナ本人の人としてをしっかり描かれていたドラマは、さすがはNetflixと唸ってしまうような出来でした。その後まだ見ていなかった映画を見ると、ドラマの方もいかに忠実に再現されていたかが分かったし、その上で見るドキュメンタリー映像は見ていて辛いほど。

でも映画版ではカート時代やF3時代もそれほど深く描かれていないので、是非ドラマ版を見てから映画を干渉していただきたいと思います。

《アイルトン・セナの略歴》

アイルトン・セナ・ダ・シルバ（Ayrton Senna da Silva, 1960年3月21日 – 1994年5月1日）

F1史を代表するドライバーの1人とされ、

多くの投票で「史上最高のF1ドライバー」や

「史上最も影響力のあるF1ドライバー」に選出されている。

F1世界選手権において1988年・1990年・1991年と、計3度ワールドチャンピオンを獲得。

計65度のPP獲得数は、2006年にミハエル・シューマッハに更新されるまで

歴代1位の記録であった。

ブラジル人としてF1で初優勝だけじゃなくワールドチャンピオンも達成したセナ

【天才と呼ばれつつ決して順風万歩ではなかった】

セナがF1で走っていた時期は1984年から1993年で、その頃は２輪のレースに夢中だったのでアイルトン・セナの名前こそ知っていたものの、彼の置かれた背景や生い立ちなんてまったく知らず。当時たまに中継されていたF1の決勝などで見たことがあるくらいでした。

でも当時大人気だったお笑い番組の「とんねるずの生でダラダラいかせて！」でのカート対決に出てきたセナが、半端ない技術を発揮しながらもお笑いタレントに華を持たせて。屈託のない笑顔を見せている姿に「この人は本当にヒトの良いヒトなんだなあ」と感じたのを覚えています。

その端正な顔立ちから日本では「音速の貴公子」と呼ばれたセナ（ Getty Images）

ドラマの方ではブラジルの裕福な家庭に生まれて、小さな頃からカートレースに出場していた姿や周囲に愛されていたセナの幼少時代が描かれています。そしてブラジル人ドライバーがまだ珍しかったイギリスに渡って、様々な障害を乗り越えてフォーミュラ・フォードでいきなりチャンピオンとなり、脚光を浴びます。

その後ブラジル人の奥さんとは離婚することになりましたが、その翌年にF3クラスに昇格するとまたもやいきなりチャンピオンとなって、わずか３シーズンで無名の若者はF1のシートを獲得してしまいます。

往年の名選手ニキ・ラウダと屈託なく笑うセナ（ Getty Images）

まだ人種差別の酷い時代にあってつらい思いも多く、遠く離れた故郷を想いながらも夢を諦めずに走り続けたセナ。それでも1986年に初優勝すると翌年からはマクラーレン・ホンダに移籍して、通称プロフェッサーと呼ばれ2度のチャンピオンに輝いていた、気難しいアラン・プロストとチームメイトになります。

それからはセナの天才気質で激しいドライビングがFIAに睨まれたり、プロストとのいざこざもあったものの、1988年から1991年にかけては３回のワールド・チャンピオンを獲得します。そのスタイルはただ勝つだけじゃなく、最後までアクセルを緩めることなく速さのみを求めたセナ。

考えてみればプロストとの因縁はF1デビューイヤーのモナコGPから

彼の最後となった1994年は前年まで圧倒的な速さを誇り、念願だったウィリアムズに移籍して鬼才エイドリアン・ニューウェイの創り出したマシンFW16に乗ったものの、この年からアクティブサスやトラクションコントロールなど、今では当たり前な電子デバイスが禁止となったマシンは速さこそあれ不安定。

迎えた第3戦モナコGPでは予選でフォードのラッツェンバーガーが事故死し、それを見ていたセナは不安を訴えていたと伝えられていますが、そのままスタートした決勝レース中に高速コーナーでコースアウトし、そのまま帰らぬ人となります。

去年は没後30年でした

ただ速かっただけじゃなくメチャ速く、人間的な魅力に溢れて誰からも愛されたセナ。そんなセナの葬儀にはあれほど確執のあったプロストでさえ、わざわざブラジルまで出向いて参列されたことからも分かります。

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セナの棺を運ぶプロスト（左2番目）CNN.jp

「名前は知ってるけどどんな人かは知らない」という方は是非まずはドラマで彼の人生を見て、そのままがドキュメンタリー映像で見られる映画版を見ると、ドラマの配役がどれほどソックリかもわかるし、彼の生涯をより深く知ることができると思います。

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