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》モンスター級のロングランを続けるインド映画:『RRR』鑑賞記

2023.05.17

昨年10月の公開以来話題となり、いまだに日本全国100以上のスクリーンで上映され続けているモンスターヒット作をやっと観に行った感想をブログに。



近年インド映画はさまざまな形で毎年のようにヒット作が上映されていますね。インド映画のヒット作といえば、いかにもボリウッドという『ムトゥ〜踊るマハラジャ』に始まり、貧乏な青年がクイズ番組で莫大な賞金を手にする『スラムドッグミリオネア』も世界中で人気を博しました。それに『ホテルムンバイ』『パッドマン』や『ライオン』など事実を元にした作品も多いのですが、今作のようにVFXを多く使ったアクション大作『バーフバリ』シリーズもあって、現在は最新の『ブラフマーストラ』も上映が始まりました。



僕はといえばインド映画は好きなのですが、『バーフバリ』も面白いとは思ってはいても「見るならスクリーンで」とまで思うほどではなく、VODで見るにとどまったのと同じように、今作も配信を待とうと思っていました。でもどうやらこのストーリーの主人公二人がインド神話やインド2大叙事詩をモチーフにしているらしいことを聞いて、同じように参考にされているという『ブラフマーストラ』を鑑賞する前にやはり観ておきたくなりました。




公開からすでに7ヶ月経っているのに今だにほぼ満席になる映画ってある?




何よりいまだロングラン上映が続いていることで、そんな人気の理由を知りたくなったというのもありますけど、まさか公開から7ヶ月も経っているのに劇場はほぼ満席状態だなんてビックリ。どうやら何度も観直すようなコアなファンに支えられているようで、劇場内は半分以上が女性。しかも若い方が大半のようでした。




《『RRR』のあらすじ 》


舞台は1920年、英国植民地時代のインド。


英国軍にさらわれた幼い少女を救うため、立ち上がる部族の守護者ビーム。


その一方で大義のため英国政府の警察となるラーマ。


熱い思いを胸に秘めた男たちが運命に導かれて出会い、唯一無二の親友となる。


しかし、ある事件をきっかけに究極の選択を迫られることに。


彼らが選ぶのは、友情か?使命か?







この作品のタイトルは制作当時、監督のラージャ・マウリと主演二人のラーム・チャラン、ラーマ・ラオ・ジュニアの3人のイニシャルから『RRR』と仮称で呼ばれていたものが、そのまま正式タイトルとなったようです。そして大きな話題となった劇中のダンスシーンで掛かる「ナートゥナートゥ」という楽曲は、ゴールデングローブだけじゃなくアカデミーでも受賞しています。




【友情と使命、大義と愛情。さまざまな想いを背負った二人の戦いがいま始まる】

主人公二人は過去インドに実在した伝説的な独立運動の指導者アッルーリ・シータラーマ・ラージュ(ラーマ)とコムラム・ビーム(ビーム)をモチーフにして、「マハーバーラタ」と「ラーマーヤナ」というインド2大叙事詩を参考にして描かれたフィクションのストーリーです。




同時期にイギリス領インド帝国などに対する抵抗運動を指導していた実在の二人




同時期に別の地方で革命運動を指揮していた指導者二人のストーリーがとても似ていたのを知った監督が、「この二人が当時に知り合っていたら?」とインスパイアされて、革命前の二人の物語として作ったのがこの作品です。



山あいの小さな部族から、インドを収めていたイギリス総督に連れ去られた少女を助け出すために立ち上がった守護者ビームは、森の中で狼を生け捕りにしようと仲間と罠を掛けていたところ、突然現れた虎と素手で戦って捉えてしまうような力の持ち主、そしてそんなイギリス総督の屋敷を守っていたインド人警官ラームは、屋敷を囲んで圧政に反抗する群衆の中に一人で飛び込んで、主導していた男を捕まえて屋敷に連れ帰ってしまうような使命感の強い男。そんな二人が不思議な縁で知り合って互いに信頼し合う親友となり、やがて互いの使命を知って戦うことになる物語です。




『RRR』 © 2021 DVV ENTERTAINMENTS LLP.ALL RIGHTS RESERVED.

虎と力比べになっても勝ってしまう無双の男ビームはシヴァ神に


『RRR』 © 2021 DVV ENTERTAINMENTS LLP.ALL RIGHTS RESERVED.

何千人の群衆に飛び込んでボコボコにされながらも諦めずに首謀者を連行する不屈の男ラームはビシュヌ神に




劇中でも二人はヒンドゥー教に伝わる神話になぞらえて描かれていて、ビームは少女を救うためなら自分の命さえ厭わず立ち向かう姿は「シヴァ神」に。そしてラームは故郷に残してきた許嫁シータも含めて叙事詩『ラーマヤーナ』に描かれる「ビシュヌ神」の化身としての「ラーマ」になぞらえて描かれていることが、あちこちのシーンでも見てとれます。


でもまずこの映画で話題となったのは凄まじいスピードでステップを踏むダンスシーンで、そこで流れる曲が「ナートゥナートゥ」。




『RRR』 © 2021 DVV ENTERTAINMENTS LLP.ALL RIGHTS RESERVED.

インド映画の代名詞とも言えるようなダンスシーンはアカデミー授賞式でも見られましたね




この作品ではインドがイギリスに統治されていた時代が描かれており、総督夫妻の傍若無人ぶりに怒る民衆の代表として二人が描かれるのですが、前半部分ではまだ二人が対立する立場であることを知らず。ラームは頼り甲斐のあるビームのことをアニキと呼んで、ビームも今や連れ去られた少女を助けに行こうとする時でも、蛇に噛まれて苦しむラームを放って置けずに助け、秘密にしていた使命をラームが警察官とも知らずに打ち明けてしまいます。


それによってそれまで互いを信頼しあっていたからこそ、より激しくぶつかる二人。




『RRR』 © 2021 DVV ENTERTAINMENTS LLP.ALL RIGHTS RESERVED.

『RRR』 © 2021 DVV ENTERTAINMENTS LLP.ALL RIGHTS RESERVED.



そんな二人が最後に選ぶのは友情か使命か、大義か愛情か?


さすがはここまで人気を保っているだけに、とても多くの対立する感情を描き出したストーリーやVFXによる戦闘シーンも含めて、ほぼ3時間という長い上映時間ながらとても見応えありました。





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