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おざわやの代表のブログです

最近出会った「陰(かげ)」についてあれこれと

2019.02.06

先日打ち合わせに初めてお邪魔した寺院さま。とても大きな敷地に建つ立派な日本家屋は、どうやら修行道場のようでした。でもまず目を惹かれたのは敷地に張る手前の門。門前に立って見上げた天井でした。

 

 

 

見事な桧皮葺(ひわだぶき)の門でした

 

 

 

日本家屋の一番の特徴ってこんな長い軒先ですよね。ヒノキの樹木の皮を剥いで重ねた屋根が大きな影を造って、その影からの反射光が当たった桧皮や丸太、よく揃えられた竹の陰影に見惚れてました。先日お話しを聞きに行った講演会で、臨済宗の僧侶の玄侑 宗久(げんゆう そうきゅう)さんが演題に選ばれた「陰影礼賛(谷崎潤一郎著)」。その中で「長い軒先は縁側から奥には届かず、畳に反射した明かりが奥の部屋の天井に映った灯りに浮かぶのが床の間」と言われていたのを思い出していました。その時の話の内容はほとんど演題には関係なく政治の話しばかりでゲンナリしましたが、代わりに一緒に舞台に上がられていた姜尚中(かんさんじゅん)さんが言われていた「日本の文化で美しいのは月の光のことを【月影(つきかげ)】と読むこと」には深く納得。

 

 

 

 

 

陰影礼賛(いんえいらいさん)1975年初版発行

 

 

 

 

その話しの元にされていた「陰影礼賛」はボクも大好きな本で、今まで何度も読み返しています。金箔に包まれた仏像が本当に美しいのは、ロウソクや線香の煙で煤けた暗いお堂の中にゆらゆらと揺れる和蝋燭の灯火で、暗闇の奥から薄っすらと仏像の額のあたりが浮かび上がったときだ、というようなことが書いてあったと思うんだけど、それにも似て確かに月影って良い言葉だなあと。

 

そこから思い出したのは、先日大阪でのビジネスセミナーの中で演じられた劇のこと。その演題となっていたのは【星影の小径(ほしかげのこみち)】という、昔ちあきなおみさんが唄って大ヒットした曲。それから数多くのアーティストがカバーしているこの歌を、劇中でも出演者の方が見事にアカペラで唄っていたっけ。

 

 

 


 

 

 

月影も星影も、何も考えずに受け取ればただの影。でもよくよく考えればそれは影ではなくて、別の明るい星からの光を反射した明かりのことをそう呼んでいるだけ。そんな薄っすらとした影を感じて楽しむのって、心に余裕を持ってないと出来ないよなあと想いながら聴く星影の小径はまたさらに素敵に聞こえました。

 

アン・サリーさんとかUAとか、いろいろなバージョンでこの曲を聴きながら「陰影礼賛」を読み返してみたいなーって。アタマの中をアチコチうろつきながら、そんなことを思った雨の日のブログはこんなトコで。