》音楽はヒトの心を紡ぎ出す波動：映画『ビューティフル・ライフ』鑑賞記

無名の素人アーティストが見出されて、栄光を掴むストーリーにハズレなし！しかもデンマークの人気アーティストが恋愛を絡めて演じているから、さらに響くのは当たり前なストーリーの感想をブログに。

古くは『ストリート・オブ・ファイヤー』や『フラッシュ・ダンス』、近年でいえば『はじまりのうた』や『コーダあいのうた』もそれに入ると思いますが、無名のアーティストが何らかの才能を見出されて世に出ていくというストーリーは、映画のストーリーとしては定番のもの。そして歌や踊りだけじゃなく、それぞれに環境や恋愛、家族構成などのエッセンスを加えてドラマティックに仕上げていることも共通していると言えるでしょう。

でもその中に込めるメッセージはそれぞれ別のもので、最近話題となった『コーダあいのうた』は「Child of Deaf Adults」の略語である「CODA」をタイトルにしている通り、漁師の家族の中で唯一耳が聴こえるという主人公が歌の世界に生きていくという夢と家族を支えなければならないという相反した思いに悩む姿から、伝わってくる多くのメッセージが胸を揺さぶる作品でした。

歌って物語と相まって感動につながり易いですよね

『はじまりのうた』は有名な男性プロデューサーに見出された女性アーティストがその人生に活路を見出していくストーリーですが、彼女の元恋人役にはマルーン５のボーカルのアダム・レヴィーンが出演していて、そのハイトーンな美しい歌声が物語に花を添えてます。

そして今日ご紹介する『ビューティフル・ライフ』は、デンマークの人気アーティストが主演していてそのルックスやセクシーさだけじゃなく、さらには歌声も素敵な上にストーリーも良くて演技も素晴らしいという、非のつけどころが無いストーリーでした。

《『ビューティフル・ライフ』のあらすじ》

類まれな歌声を持つ漁師のエリオットは、

成功を収めた有名音楽マネージャーのスザンヌに見出され、

一世一代のチャンスを手にします。

まもなくエリオットは、疎遠になっていたスザンヌの娘で

音楽プロデューサーのリリーと組むことになります。

しかし過去に抱えた問題が、スターへの道を駆け上がろうとする

エリオットの大きな足かせになるばかりか、

リリーとの間に芽生え始めた恋も脅かすことになり…。

主人公のエリオットを演じているのはデンマークの人気アーティストのクリストファーで、その声だけじゃなくルックスまでも甘く、さらに鍛え上げた肉体は漁師と言われてもおかしくないほどだし、複雑な過去を持つエリオットの醸し出す微妙な心持ちも違和感なく演じています。

【類まれな歌声を持つ青年がたまたま見出される】

エリオットは子供の頃に両親を亡くしたらしく、一人寂しく古びたクルーザーのキャビンに住んでいて、近所の漁港で漁師の手伝いをしながら暮らしています。たった一人の友だちは裕福な家育ちながらクズのような生活を送るオリヴァーは歌手志望、エリオットは作曲とギター演奏を担当して二人はグループを組んでいます。とあるパーティーに有名な音楽プロデューサーのスザンヌが来ると聞いたオリヴァーは自分を売り込むために歌いますが、彼の歌は箸にも棒にも掛からず。すっかりやる気をなくした彼をサポートしようとエリオットが歌うと、場の空気が一転してスザンヌは目を輝かせます。

スザンヌはエリオットに音楽の仕事を手伝ってくれないか？と自宅に招いて、そこにいた娘のリリーにも彼をサポートするように指示します。初めはまったくやる気のない二人でしたが、互いの実力に気づき始めると素晴らしい曲ができ始め、SNSで流したその曲はすぐにバズっていきます。そうした中で次第に惹かれあっていく二人。

それぞれ暗い過去を持っていて、それがいつしか二人に影を落とします

エリオットは亡くした両親との思い出の籠った船から離れられず、リリーはロックスターだった父ビンスが自殺してしまったという心の傷を抱え、そんなリリーを心配する母スザンヌとの関係はいつもギクシャクしています。でもそうして二人の力で作り上げた楽曲でライブを開けば大盛況で、次はアルバム制作に入ろうかという頃になって彼らの前に再びオリヴァーが現れ、チームに入れろと言い始めたことから空気が悪くなっていきます。

リリーの父も支えたスタッフのパトリックが皆の間に入って奮闘

エリオット、リリー、スザンヌのそれぞれが心の中に抱えた傷や闇が、この騒動の中で表に出てきたことでぶつかり合う３人。

そんな過去についてそれぞれに誰のことも責められず、それがかえって自らを傷つけてしまっていた３人ですが、やはり人は誰も一人きりでは生きていけないし、誰も思いを聞いてくれる人がいなければ人生は辛過ぎます。そんな人生を歩んできて出会って慰め合い、それぞれの思いを曝け出しあったことで一度は離れてしまう二人。そんな時パトリックが、リリーが出て行ったことに戸惑うエリオットにこう言います。

「皆、何かを失った。でもそれより最悪なのは、再び失うことへの恐怖心だ。恐れるな。」と。

ロンドンの音楽番組に出演したエリオットがそこで、歌に乗せて出した答えとは何か？ぜひ作品を見て確かめてみてくださいね。

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