》得意なことを素直に続けることが道に繋がる

お釈迦さまの弟子となったパンタカ兄弟の生き方から素直に学び、習い続けることの尊さを感じ取ろうというブログ。

お釈迦さまには多くの直弟子が居ましたが、そのレベルも人それぞれでお釈迦さまの一言だけで覚りを開いてしまう人もいれば、長い年月の学びの末に菩薩（ぼさつ）という位に至る人も居たそうです。でもお釈迦さまは誰1人として見放さないし、相手によっては言い方や言葉を変えてまで「共に学ぼう」と一緒に肩を並べて歩いたそうです。

そんな弟子の中にマハーパンタカという大変賢くて、すぐに尊者と呼ばれるような若者が居ました。

ある時彼はたくさんの弟子たちを連れて生まれ育った町に戻ると、周囲からは自分の名前さえ覚えられず愚かで兄と似ても似つかないと言われる弟のチューラパンタカに「私が教えてやるから出家させてあげよう」と言って、修行していた祇園精舎に彼を連れて帰りました。でも兄がいくら教えて聞かせても、たった数行の一文さえ憶えられなかったことから「お前には難しいから、もう諦めて帰りなさい」と門の外に出されてしまいました。

お釈迦さまはほうきで境内を掃き掃除しなさいとチューラパンタカに告げた

そこへ通りかかったお釈迦さまに「私が愚かだから兄に呆れて放り出されてしまった」と泣いて言ったチューラパンタカに、「なぜ私のところに相談に来なかった？」とお釈迦さまは言われつつ、彼の得意なことを聞き直しました。すると「掃き掃除は得意です」と答えた彼に「これで綺麗に掃除しておくれ」とほうきを渡して、その時に「塵を払わん、垢を除かん」と唱えながら掃き掃除をするよう言われました。

それからお釈迦さまの言いつけ通りに、「ちりをはらわん、あかをのぞかん」と唱えながら何年も掃除し続けたチューラパンタカでしたが、いくら掃除しても落ち葉や埃なんて無くなることがなく、それでもお釈迦さまは「まだだよ」と言われるばかり。やがてチューラパンタカはお釈迦さまが掃除しなさいと言われたのはどこなのか？そして「ちりはなくなすことはできるんだろうか？あかとはなんだろう？」と思いを巡らせつつ掃除するうちに、そんな風にキリがないのは「愚かで役に立たない」と卑下して自分自身を苦しめてきた思い＝煩悩と同じだと気づきます。

レレレのおじさんのモデルはこのマハーパンタカです

ほうきを渡すとき「自分が愚かなことを知っている人は尊い。自分が賢いと思い上がっている人こそが愚かなのだ」と諭されていたお釈迦さまは、掃き掃除だけでも彼が覚りをひらく事ができると気づいていたのでしょう。人にはそれぞれ得意なことや向いている事があり、出来ない自分を嘆く心こそが本当の「塵や垢」だと気づいたマハーパンタカは、その後立派な弟子として尊者にまでなったそうです。

元々は名前さえ覚えられなかったために、名札（名荷）を首から下げていたマハーパンタカ。

そんな彼の死後、その墓から見たこともない草が生えてきたので「茗荷（ミョウガ）」と名付けられました。それが元で「ミョウガを食べると物忘れが酷くなるよ」なんて迷信が始まったそうですよ。

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