》誇りを繋いだアクションサスペンス：『アドヴィタム』鑑賞記

フランス・ベルギー製作のNetflix作品は、妻を誘拐された元特殊部隊の男が巻き込まれた過去の事件と、父親から受け継いだ「命ある限り」の誇りを守るため戦うアクションサスペンスを楽しむための解説的なブログ。

Netflixの新作映画としておすすめに出てきたもののタイトルの意味も分からず、出演者にもあまり華が感じられなかったものの90分程度という短さから見てみた作品でしたが、意外なほど面白くみられた上に背景を知るとさらに楽しめそうに思えました。

高所作業中の作業員が落とされそうになる物語の始まりにはここからノンストップアクションが始まりそうに感じるものの、そこから物語は過去に戻るなど説明的なストーリーが長く、冗長に感じてしまいます。…が、それも後半にはしっかりと意味を持ってくるくだりとなってきます。

《『アドヴィタム』のあらすじ》

高所作業中に落とされそうになったり、

強盗に襲われるなどの危険を逃れたフランクは、

誘拐された妻を救うために真実を追い始める。

しかし自らの過去につながる

重大なスキャンダルの存在を知ったことで、

命がけの追跡劇に巻き込まれていく。

タイトルの”アドヴィタム”というのは「命ある限り」という意味のラテン語で、主役のフランクがフランス国家憲兵隊の特殊部隊GIGNに選ばれた時に、亡き父親から受け継がれた憲兵隊の隊章に記されていた文字。そんな誇りある隊章が事件の裏側にある謎を暴く鍵となっていきます。

ちなみに国家憲兵隊というのは警察とは別の組織であり、その中でもGIGNというのは人質事件やテロなどに対する作戦に当たる、選抜されたエリートによる特殊部隊のことです。

【たまたま出会してしまった事件に始まるサスペンス】

外壁の調査を手伝って高所作業をしていたロープが突然緩み、地面に叩きつけられそうになるフランク。そこから降りてみると目の前を逃げていく男と鉢合わせ、その犯人を追いかけていきます。そこで思わず「ここからノンストップアクション劇でも始まるのか！」と思えば逃げられ、臨月の妻と帰った家が荒らされていたりと次第にサスペンス的な要素が色濃くなっていきます。

そもそもフランクには同じ部隊だった妻のレオにも言えない秘密があり、それは過去の除隊となった事件に絡んでいるようで、ついに犯人たちに拉致されてしまう2人。そしてそんな背景を2人の出会いとなった訓練から回想しつつ当の事件も描かれていいきますが、そんな前半部分はどことなく捉えどころなく冗長に感じてしまうほど。

でもこの辺りはのちに前振りになってきます。

厳しい訓練を勝ち抜いたベンを祝福するフランク

そうして明らかになるのはフランクが関わった過去の事件についての「証拠品」を犯人が探していたということで、誘拐したレオの身柄と引き換えに持ってくるよう要求されるフランク。

そして同じ事件の怪我が元で除隊したベンに協力を仰いで妻を救出に向かうあたりからは、前半に打たれた前振りが少しずつ回収されていき、次第にストーリーがスピードアップしていきます。

同じ部隊だったレオは妊婦になってもキレッキレなアクションを見せます

そしてクライマックスに向かっていくアクションでは、ちょっと緊迫感のないモーターパラグライダーのアクションなどちょっと苦笑いなシーンなどもありつつも、すべて上手に回収してくれてスッキリ！

全体にこれまでのハリウッド映画にはないようなストーリー構成で、もう少し深掘りしたり展開を変えればもっと面白くなりそうだったりもするけれど、父親から受け継いだ隊章がすべてを繋いでいくあたりに着目して見ると、ラストにはまたもうひと超えの感動もあります。

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