おざわやの代表のブログです
2016.03.18
皆さんは「塔婆」というと、お盆や法事で見かける「板塔婆」を思い浮かべられるでしょうか?
真宗系の方にとっては時代劇やお化け屋敷でしか見られないでしょうね。
今回受注させていただいたのはそれに対して「角塔婆」と呼ばれるもので、石ではなく木材で出来ています。
石屋さんなのに木???
不思議ですよね。
これは新しく墓地を設けたものの、新家さんでお墓に入られる仏さんがまだみえない場合に建てる先祖供養のための墓碑なのです。ですから石ではなくあえて木で造り、誰も亡くなっておらず恒久のものではないから「朽ち果てる」ことが大切なのです。
ではなんのために建てるのでしょうか?それは新家さんとはいえ本家のご先祖がいなければ今の私達はないということへの有り難さ、そしてご先祖への礼を尽くすため、そしてこれによって幾久しくこの家が順縁に続いていきますようにとの思いの籠もった墓碑なのです。今回の塔婆には「五輪(ごりん)」を模した刻みに合わせて「空・風・火・水・地」というこの世界を形作る5つのものを現す凡字(ぼんじ:サンスクリット語)と、そ れぞれの宗派ごとのお経文の一部を書き込みました。名古屋で書を頼むならこの方、とお知り合いのご住職たちが声を合わせて太鼓判を押すご住職をご紹介いただき、ご無理願って書いていただきまし た。有り難いご縁です。
既に建ててある角塔婆が朽ち果てかかっているので交換したいというご注文でしたが、今回は特に五寸角(15cm角)という太い角材のご希望でした。材料としてはやはり国産のヒノキが良いのですが実はこのサイズとなると材料を探すのも大変で、この地方の寺社建築に携わる宮大工の棟梁にご協力をいただいて何とか準備することが出来ました。もちろん五輪の刻みも宮大工の腕にかかればお手のもの。素晴らしい仕上がりです。
沢山のご縁が重なって、先祖への想いを重ねて出来上がる五輪塔婆。
これも石屋の大切なお仕事です。