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懐かしの名作の現代版リメイク:『白蛇:縁起(2019年)』鑑賞記

2025.01.14

子供の頃、ドキドキしながら見たフルカラーアニメーション作品の現代版と言ってもいいストーリーが、水墨画をそのままCGアニメーションに落とし込んだような世界観だった作品の感想をブログに。



子供の頃、冬休みになると放映されていたフルカラーアニメーション映画は『孫悟空』や『安珠と厨子王』などの東映作品。生まれる前に作られていたそれらの作品は、中国の民間説話を基にしたものばかりで、水墨画をそのままアニメーションで動かしたように美しい風景と、登場人物たちの滑らかな動きがテレビアニメにはない独特の世界観に魅入られました。



その中でも『白蛇伝(1958年、東映)』は妖怪である白蛇と人間の青年の悲恋が描かれ、子供心にキュンキュンしつつも冒険活劇的な展開にもドキドキ。最終的には愛の力がすべてを収めていくというストーリーがとても感動的で、中国の儒教的な倫理観ならでは!なんて感じていたように思います。


今ではそんな大国の倫理観がどこに行ったのか知りませんが?w




画像は東映ビデオオフィシャルサイトより




そんな基になっているのは中国の4大説話の一つ『白蛇伝』で、少年が可愛がっていた白蛇が人間へと化身し、成長した主人と恋に落ちるという悲恋のストーリー。そのテーマは《命はまことに尊い。けれど愛はさらに価値あり》というものだそうで、それに沿って現代風にアレンジされた当作はフルCGアニメーションとして、さらに美しい作品として生まれ変わりました。




《『白蛇:縁起〜White snake』のあらすじ》



晩唐の時代、天下が動乱に堕ち、

さらに国師は民に蛇狩りを強要し、民が生活に喘いていた。


そんな中、数百年の修行で人間の姿を変化していた蛇の妖怪「白」は、

国師を刺殺しようとしたが失敗。逃亡の末、白は滝から落ち、

記憶をなくしてしまい、蛇狩りの少年「許宣」に救われた。


白が蛇の妖怪ということも徐々に明らかになってきた一方、

国師と蛇一族との間にも激しい戦いが始まろうとした。


大きな試練が与えられた二人の未来は一体…。







妖怪と人間の恋というところや背景など『千と千尋』といったジブリ的なニオイをそこかしこに感じますがw、基のストーリーを知っているぶんは差し引けるかなあと。




【チャイナマネーの本気度が伝わるフルCGアニメでの名作リメイク】

まず映像的には宋の時代の中国を描くということで、水墨画の世界をそのままフルCGに落とし込んだ映像がとても美しくて、しかもキャラクターはディズニー作品を思わせるようなデザインの良さ。そして一度動き出せばまるでゲームの世界がそのままのような動きは『アバター』のようでもあって、色々な要素がしっかりと詰め込まれた世界観です。



ストーリーとしては、タイトルからてっきり『白蛇伝』の物語のゼロストーリーかと思っていたら同じ名前の登場人物ながらも別の話で、独裁者(国師)と搾取される民衆(蛇狩り)と妖怪(蛇精)ということで、どことなく現代風。ちょっと違うのは重い税金を免除する替わりに収めるのが数多くの蛇で、そこから魔力を吸い取って不老不死などの仙術を使えるようになりたいという独裁者。


仙術って現代風に言えば、オイルマネーや戦術核あたりを現すのかな?




国師を倒そうと目論む蛇側頭領ジャボとよほど妖怪っぽい人間側の国師




蛇族を捕まえて妖気を吸い取ることで仙術を得ようとする国師を殺すため白蛇の精ハクに暗殺を命じたが、国師の力に敗れたハクは深い谷に落ちていきます。記憶喪失のハクを助けたのは、蛇狩りの一族ながら蛇が嫌いで薬草取りをしている許宣(セン)。



ハクは自分が何者かも分からないまま一緒に過ごすうち次第に裏表のないセンに惹かれていきますが、やがて仙術を使えることが分かってハクを探しに来たセイと会うと、ついに自分の正体とその使命について思い出していきます。




互いに惹かれ合うセンとハク




ていうか、こうして見るとジブリの『千と千尋の神隠し』の二人の名前が千尋=センと琥珀主=ハクというのとは男女の違いこそあれ、どうもダブって感じます。でももし参考にされたというのであれば、原作が古い原作の『白蛇伝』の方が元々なのは確か。



ただ国師やジャボといったキャラクターでいえばスターウォーズのシスや盗賊の頭領的でもあるし、そこで得る仙術の力だってフォースの暗黒面に似ているようにも感じます。




白蛇の精ハクと青蛇の精セイは姉妹のように育ってきた




妖怪同士が争う世を生き抜くために仙術を得ようとする人間と、そうされては滅ぼされてしまう蛇族の争いに巻き込まれた二人の想いは、互いの立場を超えて分かり合えるのでしょうか?


そうして最終的な力を持つものが得ようとするのは互いの存続か、それとも利己的な欲なのか?




ラスボスの正体は?




ファンタジーの中に込められた普遍のテーマや無私の愛は、美しい映像に花を添えているように感じました。



そしてどうやら輪廻していく大きな物語として育てていきたいという製作者側の意図(笑)も絡んだ、そのストーリーの行方は2作目の『白蛇2:青蛇劫起/Green snake』に引き継がれましたが、こちらは青蛇の精セイがパラレルワールドのような妖怪蔓延る現代に飛んで、ハクの姿を追い求めるという、どことなくMCUや『アナ雪』を思わせるようなストーリー展開。


このまま売れる限りどこまでも続けるよ〜的な腹づもりのようでしたが、その後はコロナ禍もあってか…チーン




『白蛇2:青蛇劫起(2021年中国/アメリカ作品)




ともかく昔の東映作品に思い出を持つ高齢者には、この1作目は色々考えさせられる作品になっていると思われます。





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