》大ヒットを飛ばしたアーティストが潰れるワケ

「良い景色が見たかっただけなのに気がついたら宇宙まで飛んでいた…」これまで数多くのアーティストが酒や薬に溺れて精神を病んでしまうのはなぜか？とずっと思ってきたことへの、一つの答えがあった、BTSの10年の奇跡を描いたドキュメンタリーシリーズについてブログに。

これまでに何人ものアーティストが夢を叶える代わりに病んでいったことでしょう？

ジャズプレイヤーではチェット・ベイカーやビル・エバンス、ビリー・ホリデイにチャーリー・パーカーなど数限り無し。ある部分ではQUEENのフレディ・マーキュリーにもそんな部分があったように思えるし、もっと古くは伝説的なバイオリン奏者のニコロ・パガニーニなどは最後には一人寂しくアパートの一室で亡くなり、その後の遺体でさえたらい回しにされたようです。

周囲の期待や金に群がる連中のせいもあるでしょうが、そんな彼らの謎多い生き様（死に様？）はそれぞれ映画化されて、当時の様子を一局的な視点ながら知ることが出来ます。

なぜ有名になるほどに人生を狂わせるのか？

他にも色んな分野でも数々のアーティストが潰れていってしまうのに、「皆んなあとを追うように人生を壊してしまうのは何故なんだろう？」と思った時に、やはり人気になることやお金が入ることで自分を見失ってしまうんだろうくらいに思っていました。

【防弾少年団（BTS）のドキュメンタリーに感じたこと】

言うまでもなくここ近年で一番売れたであろうアーティストのBTSは、韓国出身のアーティストとして初めて全米シングルチャートで連続10週1位を記録。それだけじゃなくビルボードのアーティストチャートのベスト100でも10週連続の記録を作り、グラミー賞にも3年連続でノミネートされたということで、世界に知られたアーティストの仲間入りしたグループです。

そんな彼らのデビューからの軌跡を追った全8回のドキュメンタリーシリーズがDesney Plusで配信されていて、僕自身は興味なかった（失礼！）ものの妻が見ているのを見ていました。その中で興味深かったのは、彼らを「踊れるポップスター」としか見ていなかったのに、そもそもはヒップホップメインのグループであり、ラップの得意なRM・SUGA・J-hopeの3人を織り交ぜつつ、強烈なダンスパフォーマンスが人気となっていった本格的なアーティスト。

2022年にホワイトハウスや国連総会からもメッセージを伝えた彼ら

そんな彼らが集団の合宿生活から始まり、どのように世界中で愛されるようになっていたかを捉えたドキュメンタリー映像からは、彼ら自身が「どうしてこんなことになるんだろう？」と戸惑う姿や、コロナ禍でライブ活動が停止となって自主避難する姿。そしてライブ活動が再開されるも、それぞれの想いや徴兵により兵役に向かうメンバーなど、多くの波を超えていく様子が見られました。

その中で印象的だったのは「僕たちは良い景色が見たくて気球に乗っただけななのに、いつの間にか気球は大気圏を超えて宇宙にまで来てしまった」とメンバーの一人が呟いた言葉。

コロナ禍後に開催された大きなライブパフォーマンスのスタートシーン

彼らの中ではファンのことを「ARMY（軍隊）」と呼んで、規律正しく応援し続ける私設部隊のように語っていますが、いつの間にか韓国人だけじゃなく世界中の国々にもそんなアーミーが出来て、初めてのアメリカ公演にはスタジアムを何万人ものファンが埋める様子に驚く彼らの姿がありました。

それは喜びと共に「何が起こっているんだ？」と戸惑っているようにも感じ、どんどんBTSが彼ら個人を追い越して一人歩きしているような感覚なのかとも感じさせます。そんな時にちょうどコロナ禍の活動自粛が重なり、止まった世界に戸惑いつつもちょうど自身たちを見つめ直す機会になったとようにも見えます。

【ヒトは望んだ自分になれるが、望む以上の姿は想像できない】

ヒトはより明確にイメージするほど望む自分になれると言いますが、きっと彼らは望んだ以上の場所まで登ってしまい、そのあとの自分達がどうなるかを想像出来なくなってしまったのではないでしょうか？

そうして考えると過去の潰れていったアーティストたちも、はじめに想像していた成功する姿を超えてしまった自分に気づいた瞬間、はたと気づいて途方に暮れてしまったんじゃないかと。でも彼らは事務所や仲間たちとのプライベートもあり、お互い素直に気持ちを打ち明けられたこと。そしてそれぞれのプライベートな友だちとも繋がっていたことから、彼らは自身に戻ることが出来たようにも感じます。

やはりキーワードは「なりたい自分」を明確にしているかどうか？ということでしょうか。

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