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おざわやの代表のブログです

》仏像彫刻に見た師匠と弟子の想い

2026.04.30

毎年恒例となっている仏像彫刻教室の展覧会と、そこに展示された2人の仏師の作品に感じた想いを繋ぐことの意味についてブログに



毎年この時期に開催されている「草仏展」は、大仏師の江場琳黌先生率いる江場仏像彫刻所が主催している仏像彫刻教室の生徒さんたちの作品を展示する無料の展覧会です。



初めはお世話になっている寺院さまに連れて行っていただいてからの縁ですが、息子さんで同じく仏師の江場琳観さんとはその後色々な場所で出くわすことが続いた上、飲み友達の1人がその教室の生徒さんだったという繋がりも出来て、毎年楽しみにお邪魔しています。




左が飲み友達で彫刻を学んでいる麗かさんとその作品




まずは生徒さんである麗かさんに案内してもらいながら、たまたま来ていた他のお友達と共に一通り観覧。彼女は地蔵菩薩と釈迦如来像の二体を出展されているそうで、釈迦如来像の前に佇む3匹の可愛いカエルを「大先生に教えを乞う私たち」なんだと。



というのも大仏師の琳黌先生はこの3月に残念ながら天逝されてしまい、この展覧会にはそんな大先生が最後に仕上げた「飛龍」という作品や手がけている途中の阿弥陀如来像が展示されていました。さらには大先生が元は大須の仏壇用に大量生産される仏像を彫っていた職人だったこと、そして京都の大仏師のもとに通うようになって自ら仏師の道を開かれたということも展示されていました。




ありし日の琳黌大仏師




息子さんの琳観仏師はもちろんのこと、生徒さんたちにも偉大な師匠を失った悲しみや残念さが滲むような会場の空気に、こちらまで大先生の温かさに包まれているように感じてしまいました。




【『旅に出るブッダ』に込められた想いとは】

そんな展示作品の中でも特に興味を惹かれていたのは、まさにこれから制作が佳境に入っていく『旅に出るブッダ』という作品でした。事前に展覧会のご案内をいただいた葉書に印刷された写真には、その原型となるお釈迦さまの像が写されていました。




今にも動き出しそうな躍動感と生き生きとした表情に惹きつけられました




伺ったのは展覧会の初日で、ちょうど在廊されていた琳観先生にご挨拶しつつ弔意をお伝えし、初めて知った大先生の来歴についてもお話しさせていただきました。これまでは若かりし頃の大先生のことなどお伝えする場はなかったけれど、こんな機会だから皆さんにご紹介したかったというお気持ちや最後の様子。そして大先生が生前に大切にされていたことなども伺っていると、そんな想いをしっかりと受け取って今後の作品作りだけじゃなく、生き方そのものに落とし込まれているようにも感じました。



そして一番気になっていたのは「『旅に出るブッダ』の旅立ちとは一体どのタイミングを描かれているのか?」ということ。


写真からは筋肉質で若々しく躍動感さえ感じるお釈迦さまの姿に「もしや王子として育ったお城から修行の旅に出るところか?」とも思いましたが、それにしては軽く笑みを噛み締めているような表情からは充実感のようなものを感じさせる気もして、ぜひ先生に聞いてみたいと思っていました。




手前の小さな像をモデルに彫り進められていく木像




するとあくまでイメージではあるけれど、自ら拓かれた悟りを元にこれから仏の道を伝え広げていこうとする御姿で、今回はあえて仏像的ではなく人間味を残す姿を表現しようとしていると琳観先生。



そんな筋骨隆々なところや大股に踏み出した足元など決して仏像彫刻では使わない表現から、依頼を受けた大正大学ではこの像を生徒たちが見ることで、この先の時代を切り拓いていく希望に繋げてほしいというような想いを感じました。




向かい風にはためく衣や足元の岩盤の傾きなど、全てがこちらに向かってくる姿を表しています




お釈迦さまは悟りを拓いてしばらくの間、その悟りの世界の愉しみに浸って(瑜伽三昧:ゆがざんまい)過ごされていたそうですが、それを一般の人々に伝えようとはしなかったようです。それは悟ること自体の難しさや話して伝わるとは思えないことなどが理由だったようですが、梵天や帝釈天などの神様の説得に応じて「初転宝輪(しょてんほうりん:法を教え説き始める)」を始めたそうです。



そうしてブッダとなったお釈迦さまが我々凡夫の世界に降りていこうとする御姿がまさにこの像には現されていて、その岩盤の一本道を颯爽と大きく踏み出す一歩はそんな初転宝輪そのものではないかと感じます。そして完成した像を見る学生たちには、人間釈迦からブッダへと切り拓いた道を知って欲しいという思いも琳観先生は伝えてくれているように感じます。





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