》先祖供養は抱え込まず、家族皆んなでするもの

流行りのようにお墓仕舞いが進む中で聞かれるようになってきた「子供達に迷惑はかけたくない」という言葉に思う、親世代の勝手な思い込みが家族関係を壊してはいませんか？という石屋さんの呟きをブログに。

ここ数年で増えてきた「お墓仕舞い」は今年もそのまま継続し、名古屋市の市営霊園でも新設されるお墓よりも撤去されるお墓の数の方が多くなっているそうです。その理由の一つとしては名古屋市緑区のみどりが丘公園墓地に増設された合葬式墓地の影響があるのでは？とも考えられているようですが、それよりも先祖供養に対する考え方の変化が大きのでは？とも感じます。

その一方で団塊の世代と呼ばれる世代の方たちが、お子様たちの意見も聞かずにお墓仕舞いや檀家からの離檀（りだん）をしてしまうことで、問題になることが決して少なく無いとも聞きます。

昨夜は料亭での忘年会でした

昨夜はお世話になっているご住職様たちとの恒例の忘年会。老舗料亭での贅沢なひと時でした。

そこで伺ったのは以前離壇（りだん）していった檀家さまの親御さんが亡くなり、結局その葬儀をお子様がまた頼みに来るという復壇（ふくだん？）が今年何軒もあったそうです。それはよく「団塊の世代」と呼ばれる世代の親御さんが「子供達にはこんな苦労は掛けられんし、どうせ先祖供養もやってくれんだろうからもうお付き合いは終わりにする」と離壇されていったそうで、どうやらお子様たちには何も相談されていなかったよう。

ところが実際に縁切りしてしまった本人が亡くなってみると、そのお子様たちは子供の頃から慣れ親しんだお寺にすぐ相談して「親父はちゃんとお付き合いさせて貰ってましたか？」なんて心配するような始末。その後はまた檀家として復帰して、きちんと先祖供養を続けられているとのことでした。

お寺での法要は子供達の記憶にしっかりと残って繋がるものです

すると他の寺院様からも「お墓仕舞いしてしまった当家とその兄弟筋が揉めて裁判沙汰になっている例もあり、お子様や親戚にもちゃんと相談してからにしてくださいとお話しするようにしている」なんて伺って、やはり親世代の勝手な思い込みが最近の風潮を生んでしまっていることが分かります。

皆んな子供の頃には見えない世界を怖がり、そんな世界の先にご先祖さまたちとの縁があることを知ると反対に安心感に変わる。そんな想いをしてきたはずの親御さんたちなのに、日々の生活に追われるうちにそんな世界のことを忘れてしまい、子供たちを過剰にスポイルしてしまうのは本末転倒。

子供やお孫さんたちの方がよほど、そんな安心感を求めていることを感じていないのです。

西行法師（菊池容斎画／江戸時代）：Wikipediaより

うらうらと　しなんずるなと思ひとけば　心のやがて　さぞとこたふる　〜西行法師

うつらうつらとこのままで死んでいくことなのだなと思うと、自分の心はすぐにそのとおりである、と答える。こういうふうに、ふだんから死ということを諦念して歌に託したのが西行であったればこそ、安らかな死が迎えられたことでしょう。(いまを生きる知恵　中野孝次)より

誰もがいつかは死を迎えるということを心に留めて生きているからこそ、生命は素晴らしいと思える。でもその命に固執するのではなく、生きるということに執着せず「ただただ生きる」ことが大切だと、このうたは説いているように感じます。

そんな生命が綿々と繋がってきたことに感謝せず、いったい何を子孫たちに残せるのでしょうか？

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