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【歴史は切り取る角度でまったく変わるから検証が大事:『英国総督 最後の家』鑑賞記

2020.04.29

またまた大好きな事実を基にした2017年の作品、『英国総督 最後の家』を観て改めて【史実の大切さ】を感じたというブログです。



 出てくる人々皆それぞれに国や民を思っている。けれどそんな誇り高い人々の思いに大国の事情が絡んで交錯し、分裂してしまう。そんな史実に基づいた歴史を、総督一家の想いと使用人たちの異教の恋を絡めて描いたストーリー。監督は『ベッカムに恋して』のグリンダ・チャーダ監督ですが、この作品内でも描かれている分離独立によって、暴動や略奪の起こるインド国内を移動した祖父母を家族に持ち、自らこの史実を映像化したいと企画した張本人で、脚本にも参加しています。




【あらすじ】



 1947年、第二次世界大戦に勝利したものの経済的に疲弊し、300年続いたインドの統治を解消して主権委譲することを決めたイギリス。その委譲を円滑に進めるために選ばれた最後のインド総督のマウントバッテン卿。家族とともに移り住んだインド総督邸はバッキンガム宮殿よりも豪華で5百人もの使用人に迎えられます。そんな使用人に採用されたジートは元警察官で、同じく使用人として働くアーリアの父を助けたことから互いに好意を持っています。

 独立するべく権利委譲作業の進むインドですが、統一した独立推進派のガンジーと、ヒンドゥー教代表のネルーやイスラム教代表のジンナーのように宗教的に分離した独立に別れて小競り合いを起こし、国内でも暴動や略奪が起こっています。何とか平和的に統一した大国として主権を渡したいマウントバッテン卿とその妻エドウィナですが、事態はどんどん悪化するばかりで2ヶ月も持たず、争いを収めるためにインドとパキスタンに分けた独立を進めることになります。

 互いに思いを重ねたジートとアーリアでしたが、アーリアはムスリム(イスラム教徒)の父親を放っておけずパキスタンに行くことを決めます。そうして乗った列車がその夜暴徒に襲われ、乗客は全員殺されたと聞き呆然とするジート。


 時代に翻弄されたこの歴史的な騒動が、実は戦争中から画策されていた交渉の結果だということを知って、自分がその中で利用されただけだったマウントバッテン卿の悔しい思い。そしていずれインド、パキスタン、バングラデッシュという3国に別れる人々の想いが描かれた、壮大な作品でした。






【史実は知れば知るほど興味深い歴史がありました(ネタバレあり)】

 この作品の中ではたびたび「ディッキー(マウントバッテン卿のニックネーム)は人を信じさせる何かを持っている」と言われているように、この総督夫妻とその娘のパメラはインドの人たちを身分では決して見下さず、仕事としての関係を省けば使用人たちとも良い関係を築きていきます。イギリスから連れてきた女性がインド人たちを見下す態度を見せると「今すぐ荷物をまとめて帰国しなさい」と言ったり、使用人たちの家族が暴動に巻き込まれそうだと知ると「帰って家族も連れてきなさい。住居なども用意しよう。」と伝える所などからもそんな姿勢が伺えます。作中では権利委譲するまで無事進められるように、とのイギリス本国のチャーチル首相の思惑があったように描かれる部分や密約などもほのめかされますが、それについては確認のしようもなく眉唾との意見もあったよう。


 でも実際インドの歴史から見れば、イギリスは18世紀末に植民地化したベンガルでその後拡がっていった民族運動を抑えるため、20世紀初頭に「ベンガル分割令」としてヒンドゥーとムスリム(イスラム)を別けてインド人勢力を分断しています。それがその後のインドの民族分断や抗争に繋がったところを見ると、あながち根拠の無い話ではない気がします。



 作中でこの夫妻を演じるのは「ノッティングヒルの恋人」や「ダウントン・アビー」などにも出演しているヒュー・ボネビルと、何と言ってもテレビ番組「Xファイル」のダナ・スカリーがこんなに良い歳の取り方しているのか!と驚いちゃったジリアン・アンダーソン。慈しみ深く使用人やインドの子供たちに向ける目線にはイギリスの貴族階級の人たちらしい温かさと高貴さが漂います。


 というのも当然で、当時のマウントバッテン卿本人はインドの初代皇帝であるヴィクトリア女王の曾孫、現在のチャールズ皇太子の大叔父にあたる人です。第一次世界大戦では海軍将校として日本軍と共に戦ったものの、第二次大戦では東南アジア方面の司令官として敵に回った日本軍に最後まで苦しめられつつも、ついにビルマ戦線で退けて降伏させたその人。グリンダ監督がチャールズ皇太子に会った時、大叔父についての作品を作ると伝えると「マウントバッテン卿の秘書が書いた本を読むと本当に何が起こっていたのかがよく分かる」と勧められたそうです。そして後日、監督に直接同じ本を読んでほしいと進言した若手俳優は、なんとその本を書いた秘書ナレーンダル・スィンフ本人の息子で、作品中にもチョイ役ながらマウントバッテン卿の秘書役で出演しているとか。なんだか全てが縁の巡り合わせによって作らされた物語のような気もしてしまいます。



実際の分離独立への調印式と思われる写真(ウィキペデイアより引用)皆ソックリ!


 大国のエゴや財界の欲に左右される政治は、もしかしたら昔話だけでなく現在にも繋がることかも知れません。そんな意味ではやはり史実は正しく伝えられるべきだし、同じ過ちを犯さないためにも民衆はその検証をしっかりしなければならないって思います。


 そしてこちらは作中のフィクション部分ではありますが、ヒンドゥーのジートとムスリムのアーリアは分離によって引き裂かれますが、その2人の間柄を知った目の見えないはずの父親が寸前に、アーリアを列車から突き落としたことで暴徒から逃げられ、ラストシーンで抱き合う2人。まるでロミオとジュリエットやウエストサイドストーリーのようなロマンスを織り込むことで、宗教による対立の愚かさも描き出しています。



 涙を流すようなストーリーではありませんが、史実はドラマより奇なりという言葉が頭に浮かぶほど、現実の悲しさ・恐ろしさを感じたこのストーリー。歴史好きならばぜひ見て欲しい作品でした。





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