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おざわやの代表のブログです

石の表情

2016.02.05

大阪でのセミナーが行なわれたのは淀屋橋の中央公会堂。

とても歴史のある建物(重要文化財に指定)を中心とした周囲の中ノ島の雰囲気は、商人の街大阪の昔を思わせる一帯ですね。

そんな町並みを歩いていて目に付いたのは

 

 

 

 

 

 

 

 

歴史ある某保険会社ビルの石造りの外壁。上からノミ切り、コタタキ、ビシャン仕上げ。

3種類の仕上げは職人の手がかかったものでとても趣きあって、そんな街並みに溶け込んでいます。

そして細い路地を挟んだ向こうには新ビルが建っていて

 

 

 

 

 

 

同じような雰囲気に似せたようなのですが、まるで風合いが違います。

なぜこんな事になっているかといえば、昔とは製作過程が違うせいでもあります。

昔のものは原石から割り出され、ノミを使って凸部分を剥ぎ取ると「ノミ切り」、その表面をビシャンという肉叩きのような道具で叩いて少しずつ平らに近づけていくと「ビシャン仕上げ」で、さらに平滑にしていく段階が真ん中のコタタキです。

では下はというと、機械で切り出した真っ平らで味気ない表面をビシャンで叩いて荒らしていったもの。同じ「ビシャン仕上げ」ではありますが・・・。

せめて叩き方の目を揃えてあればニュアンスが似てくるのですが、そこまでも管理出来ていないようでガタガタ。

 

 

 

 

 

 

 

こちらは以前に納めさせて頂いたコタタキ仕上げのお墓の製作風景です。

約1ヶ月近くかけて仕上げた表面は石なのにどこか温かく感じて、昔の建築に使われた石材にも同じような風合いを感じます。

もちろんコストの問題はありますが、こういった職人の技はこれからも伝承していって欲しいものですね。