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おざわやの代表のブログです

M中学校 校訓碑

2013.02.27

地元の中学校から「校訓碑」を造りたいというご相談を受けたのは昨年の夏前でした。

 

創立30周年を記念して校訓を創り、「中学生による夢・チャレンジ支援事業」として記念碑を造ることになったというものでした。しかしこの時点では校訓は全く未定。予定地は決まっていても、校訓の文字数すらわからない状態では大まかな雰囲気くらいしか考えられませんでした。その後秋までの応募と、生徒会とPTAや学校などの検討、そして生徒による投票を経て校訓が決まったのは11月になっていました。

あとになってみれば、初めに頭に浮かんだイメージがほとんど仕上がりと同じではありましたが、決まった校訓が割と長かったこともあって、最終的なサイズは予定より大幅に大きくなってしまいました。

 

 

そうして記念碑に彫り込む校訓を見た時、思い出したのは別の中学校に納めた校名板でした。

そこに彫られた校名は直接の縁もあり、私自身も高校生の頃からこれまでお世話になったとある和尚様にお願いしました。

その方は書に長けているだけでなく茶や生け花などにも造詣が深く、見た目には背が小さくていつも優しい笑顔の「80歳のお爺ちゃん」といった雰囲気。しかしどこか一本芯が通った厳しさも含んだ笑顔に会う度、思わず手が合わさってしまうような思いを感じました。そしてそんな方が書く書はやはりその態を表した風格のある文字でした。

 

 

生徒たちの心に染み込むような校訓を石碑に彫り込みたいと思い、迷わず山門をくぐってお願いをしに行ったのが年末のことでした。その時には既に体調を崩していらっしゃいましたが、勝手なお願いにもいつものように「よしよし」と笑顔で快く引き受けていただきました。闘病生活で痺れる手を摩りながら仕上げていただいた文字が、実際に石碑に彫りあがったのは2月9日のこと。残念ながら闘病の末にご住職が御遷化された翌日のことでした。

民生や児童委員なども長く勤め、叙勲もされていた和尚様ですから、これから先もずっと生徒さん達を見守り、校訓に込められた想いを伝え続けてくれると思います。

 

 

今回、こんな機会を与えていただけたこと。そして死に向かう御姿をその前日まで立ち会わせていただき、まさにその時まで凛とした姿で「生きる」ということを教えていただけた人生の大先輩に深く御礼すると共に、御冥福をお祈りいたします。