おざわやの代表のブログです
2020.03.23
誰でも「あの頃は良かった」と思える美しい過去や楽しかった思い出は持っているでしょう。ボクだって一つ一つの時代に色んな想い出があって、そんな事を共有できる友人たちと酒を酌み交わしながら話すと何時間でも笑っていられる。でもそれは想い出だからこそ美しい部分だけを見られるから、ということもあると思います。
この『ミッドナイトインパリ』は20世紀初頭の芸術に華やぎ光り輝いていたパリを《ベル・エポック(古き良き時代)》として憧れるアメリカ人の脚本家ギルが、思わず迷い込んだ1920年のパリ。その街並みで出会う人たちによって自分の本当の気持ちに気付き、前に進んでいこうとするストーリー。映画の初めから終わりまで、ずっとパリの美しく色鮮やかな街並みで物語りは描かれています。
この映画を観てみようと思ったのは映画のジャケットというか、ポスターに惹かれたから。
半分は写真で、残り半分はゴッホが描いたようなタッチで描かれた美しいセーヌ川沿いの石畳。そこを歩く主人公は景色には似つかわしくない如何にもアメリカンな彼で、その違和感が物語の展開を想像させます。
【あらすじ】
映画脚本家のギルは婚約者のイネズとその両親と共にパリを訪れます。
小説家を目指す彼にとってはパリは憧れの街。いずれは2人でこの町に住もうとイネズに話すものの、彼女はマリブが良いと聴く耳持たず。偶然出合ったイネズの友人ポールに街を案内してもらうけれど、そのインテリぶった説明が本質からは程遠くてギルは気に入らない。二人と別れて真夜中のパリの街並みを歩くうちに迷ってしまったギル。彼の前に停まったアンティークカーに誘い込まれ、向かった店で出会ったのは彼が愛する小説家や芸術家たちばかり。そこは驚くことに彼が愛して止まない1920年代のパリのクラブ。そこで出会うのはF・スコット・フィッツジェラルドやアーネスト・ヘミングウェイなどの有名な小説家たち。やがてサルバトーレ・ダリやパブロ・ピカソとも出会い、その愛人のアドリアナに対して複雑な感情を持ちます。しかしやがて再び出会えたアドリアナと迷い込んだのは19世紀のパリ。アドリアナにとっての《ベル・エポック》で出会ったロートレックたちに感激した彼女は、元の時代に帰らずここで暮らそうとギルを誘います。彼女を残して戻ったギルは、彼の様子を疑う両親やポールと浮気していたことを認めたイネズとはやはり一緒に居られないと別れを告げ、またパリの街を彷徨います。
オープニングはジャズの流れる中「これぞパリ」といった景色や街並みが流れていきます。ボクはヨーロッパなんていったことはありませんが、19世紀から変わらない街並みがそのまま残るパリだからこそ、真夜中には何かの魔法によってタイムスリップしてしまいそうなんて思ってしまうかも、と思わせます。
この作品の監督で脚本も書いたウッディ・アレンはまず題名を決めて、そこから物語を膨らませていったそうで、やはりこの街並みあっての物語だった訳ですね。
そんな街並みを舞台に、誰もみな美しい過去や憧れを持っているけれど、それを現実に擦り合せることなんて出来ない。でもそれが出来たときには、貴方ならどうする?というのがこの映画のテーマではないかと思いました。
ギルは20世紀初頭のパリに恋して訪れたけれど、そこで出会ったアドリアナは更に昔の19世紀こそが黄金時代と言い、現代で共に暮らしてきたイネズは資産家の娘で美しいけれど、全くの現実主義だし浅い知識をひけらかす男に惹かれ浮気するような人。でも自分だって色々な知識人たちと語り合ううちに、彼自身が現実を受け入れずに「恋に恋していた」ことに気付いていったのではないでしょうか。
物語の中で彼を導いていくヘミングウェイや、当時のパリで芸術家たちを集めたサロンを開いていたガートールド・スタインたちと共に描かれていたF・スコット・フィッツジェラルド。村上春樹が最も影響を受けたと言われる人で、映画『グレートギャッツビー(華麗なるギャッツビー)』の原作者です。
その作品の中の台詞が本人の墓石にも彫り込まれているそうで、それがこの物語を象徴しているようなので、最後に紹介したいと思います。
『華麗なるギャッツビー』を観直してみたくなりました。
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店舗住所:名古屋市名東区高針原2-101
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営業日:月曜日~土曜日(日曜定休)
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