おざわやの代表のブログです
2021.10.06
今回の作品を最後にジェームズ・ボンド役を降板するダニエル・クレイグ。
15年前に初めて彼がジェームズ・ボンドを演じると発表された時は、彼に対しての期待値の低さは相当なものだったんじゃ無いでしょうか。それを演技力とアクション、そして原点に帰ったとも言えるようなジェームズ・ボンド像の描き方でひっくり返して高評価を得ました。その後は彼の3作目の「スカイフォール」でアカデミー賞とゴールデングローブ賞を獲得するなど、「歴代最高のボンド」とまで言われるようになりました。
それには役作りだけじゃなく「オリンピックアスリート並み」とトレーナーが言うような肉体改造もあって、当初は「カリスマがない」とか「荒々しく洗練されてない」なんて言われた彼も、撮影風景でその肉体が公開されると「ボンド史上最高にセクシー」なんて言われてみたり笑笑。
007シリーズをずっと製作するイーオンプロダクションズとしては、それまでずっと映画化権が手に入らなかったこの「カジノ・ロワイヤル」。そもそもこの007が1953年に初めて描かれた、イアン・フレミング原作の小説がこのカジノロワイヤルでした。以前にコメディ作品(笑)などで映画化されたこともあるこの作品を、敢えて新たにダニエルを選んだこの作品というのも因縁というか、執念のようなものを感じてしまいます。さらには次作の「慰めの報酬」でも野生の勘と情報戦を掛け合わせたような攻防から敵を追い詰め、それでありながらクール過ぎず感情をエモーショナルに描くストーリー性が描かれました。ただこの作品は製作中にイギリス国内で労使交渉が激化。脚本家協会もストライキを起こす中でギリギリに製作されたぶん106分と短くて、前作の終わりから始まった物語を次の「スカイフォール」に繋げるようなストーリーになっています。
そんなそれまでのクールでオシャレ、困った時にはQの秘密兵器でスマートに脱出するようなジェームズ・ボンド像を、敢えて揶揄するように描いた「スカイフォール」では、MI6本部や直属の上司のM(ジュディ・デンチ)までが狙われていきます。そんな中ずっと描かれるダニエルボンドは敵には非常ですが情に厚く、さらに人間臭い姿で身を挺して大切な人たちを徹底的に守ろうとします。この作品でそんなボンドにMが遺すのはユニオンジャック模様のブルドックのフィギュアというのも、自虐的なユーモアが効いていて絶妙でした。ちなみにこの作品が最後となったジュディ・デンチは、ダニエルを超える25年にも渡るM役でした。そしてこの作品から監督を務めるのはダニエル自身が推薦した、イギリス生まれのサム・メンデス。前2作をしっかりと引き継ぎつつ作品のトーン自体を変えて、物語のラストに向けて真に迫っていくストーリーに仕上げて、007作品として最多のアカデミー賞を受賞します。
上でも紹介したドキュメンタリー「ジェームズ・ボンドとして」では新しく選ばれたダニエルクレイグが、この世界で最も有名でありイギリスで敬愛されるキャラクターを演ずる上での難しさや、役に呑み込まれてしまいそうな辛さが描かれています。その時に次期候補として選に昇ったのは100人もの俳優だったと言われ、当初はヒュー・ジャックマンやジュード・ロウなどが有力だったと報道されたりしたそうです。そんな中から当時まったく有名でもなく金髪で、しかも身長が低くて青い瞳のダニエルが選ばれたことは本人にとっても驚きだったそうだし、それに対するファンやマスコミからの激しいバッシングも描かれています。
そんな中で描き出す新たな、しかも原作に最も近づけたボンド像は当然脚本に描かれていますが、そこには演じるダニエルのカラーも入れば作品ごとの監督の作品の組み立てもある。そして更には1962年から描き続けられてきたこのシリーズの流れにも、リスペクトをもって汲み入れているところも素晴らしい。サム・メンデス監督の2作目となった「スペクター」では、1963年の「ロシアより愛を込めて」から悪の組織スペクターの謎のボスとして存在だけが描かれていたブロフェルドが、その素性とともに明らかにされます。そんなことも含めて描き出されたジェームズ・ボンド像が、今回のダニエル・クレイグ最終作となる「No Time to Die」でどんな風にしめくられるのか?
今回もこのダニエルボンドを深く掘り下げながらも、今回の作品の内容については一切書きません。いや書けません!絶対にネタバレてはいけないこの作品では、秘められてきたさまざまなファクトが最後のボンドをさらに彩ります。
さー、ダニエルボンドの全作観直してしっかりと掘り下げたから、こっからもう一度最終作観に行かなきゃ!です。
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店舗住所:名古屋市名東区高針原2-101
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